新宿、歌舞伎町にある一医療機関の医師による乱売に端を発したリタリン問題はその後も議論が絶えません。その理由のひとつは、ちょうどこの時期に、小児の発達障害である注意欠陥・多動性障害(ADHD)*1 の治療薬としてリタリンと >>続きを読む
リタリン騒動(1)リタリンって悪い薬?
新宿、歌舞伎町にある心療内科・精神科・皮膚科「東京クリニック」に東京都と新宿区保健所が医療法違反の疑いで立ち入り検査をしたのは9月18日のことです。依存性の強い向精神薬「リタリン」を、必要がない患者に不適切に処方していた >>続きを読む
エビデンスという落とし穴
EBM(Evidence-based Medicine)という医学の流れが1990年代からカナダを出発点として世界中に広まりました。日本語では「根拠に基づいた医療」と呼ばれます。 医療の分野に、より科学的な手法を取り入れ >>続きを読む
他人事ではないシッコ(SiCKO)
久しぶりに、映画館で映画を観てきました。マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー作品、「SiCKO(シッコ)」です。 「子狐ヘレン」以来、とんと映画館に足を運んだことのなかった私が、台風の影響で激しい風雨の中、何はさておき >>続きを読む
解離性障害(Dissociative disorders)
以前のコラムでも取り上げましたが、この1ヶ月あまり、横綱(今のところ)の朝青龍に関する話題がマスコミをにぎわしています。国家の浮沈をかけた安倍内閣改造に関する話題に負けず劣らず、国中が大騒ぎです。 最終決着は先延ばしにな >>続きを読む
猛暑を耐える一人暮らしの認知症のおばあちゃま
今年の夏は日本中で猛暑が続いています。8月16日には岐阜県の多治見市と埼玉県の熊谷市で、気象庁の発表する公式気温がついに40.9度に達して、74年ぶりに国内最高気温の記録を更新しました。 気象庁による公式気温は、全国各地 >>続きを読む
妄想(delusion)―あいまいさが健康の証し―
紀元前3世紀からおよそ1800年間、宇宙の中心は地球であると信じられてきました。16世紀にコペルニクスが地動説を唱えてから、その説が多くの人の理解を得られるまでにはおよそ1世紀近くを必要としました。 アインシュタインの相 >>続きを読む
既視感(デジャ・ブ)と未視感(ジャメ・ブ)
既視感(デジャ・ブ〔déjá-vu〕)という精神医学用語は一般社会でも使われることがあります。初めて見る景気や情景を、以前に見たことがある、経験したことがあるかのように錯覚することで、記憶という機能の錯誤の特殊なものです >>続きを読む
神経衰弱となった横綱
かつて日本人の魂のよりどころであった「武士道」の精神では、傷ついて、弱っている者を追いかけて討ち取ることは、恥ずかしいこととされてきました。 あだ討ちの場合にも、相手が病気にかかっている場合には、回復を待って、正々堂々と >>続きを読む
保続症(perseveration)
「頭の中の消しゴム」、「明日の記憶」など若年性アルツハイマー病を題材にした映画やテレビドラマを通して、認知症が高齢者だけの病気ではなく、働き盛りの壮年期の人にも起こりうる可能性があるということが理解されてきました。 認知 >>続きを読む