投稿日:2013年5月27日|カテゴリ:コラム

地方都市の街道を走っているとユニクロの進出度にびっくりする。どこの町行ってもUNIQLOの赤い看板を目にする。この他にヤマダ電機の赤と青、TSUTAYAの青を黄色の看板も至る所にある。高級ブランド品や多様な選択性を望まなければ、地方都市でも手に入れられないものはなくなった。いや、高級ブランド品も大都市でなくても手に入るようになりつつある。首都圏近郊から徐々にアウトレットモールの建設が進んでいるからだ。
地方都市は東京都内と違って土地の確保が容易なためだろうか、こういった店舗やスーパーマーケットの規模がくらべものにならないほど大きい。特に駐車場のスペースだけでも、東京なら小さな商店街がすっぽり収まってしまうほどだ。車以外の交通手段に乏しい地方都市では、広大な駐車場の確保は必須条件なのだろう。
地下の安さを活かして、店舗の構造も多くが平屋だ。いくらエレベーターやエスカレーターを設置したとしても、人の動線が垂直方向よりも水平方向の方が圧倒的に有利であることは間違いない。高齢者や障害者にとってもやさしい売り場と言える。
地方に行ってもう一つ驚くことは薬屋の多さだ。しかもスーパーマーケットにひけをとらないくらいの大店舗。地方の人はそんなに病気にかかりやすいのだろうか?いったいどれだけ多くの薬を取り揃えているのだろう?と訝っていた。
ところがある時足が攣ったので、スプレイ式消炎鎮痛剤を買うために店に入って納得。本当の薬のコーナーはごく僅かで、売り場の大半は薬以外のものが並べられているのだ。まずは家庭雑貨類がずらっと並んでいる。雑貨コーナーの奥に進むとスナック菓子、ジュース、漬物・・・・・薬売り場よりも広いスペースに食品類が並んでいる。なんのことはない、薬屋とは名ばかりで、これではスーパーマーケットではないか。スーパーマーケットとの違いは生鮮食料品がないだけ。ここで気付いた。ここは薬屋ではなくドラッグストアなのだと。
アメリカで生まれたドラッグストアとは薬を中心に雑貨を売り、軽食ができるコーナーを併設した店だ。コカ・コーラもドラッグストアから生まれた商品。ドラッグストアは元来多種目商品を販売する店だった。さらに、本来生活雑貨や住宅設備に関する商品を売るホームセンターでも、最近は食品、酒、書籍まで販売している。
スーパーでもドラッグストアでもホームセンターでもインスタントラーメンが買えるようになると商店の種別が困難になる。しかし、買い方の意識を変えればとても便利になったと言えるのだろう。その日の買い物の中心商品を決めれば、その他の品物も大方買い揃えることができるからだ。
常備していた医薬がなくなった。だからどうしても医薬だけは買わなければならない。こういう場合にはドラッグストアに行けばよい。ついでに飲み物やポテトチップスも買って帰れる。
植木鉢が壊れてしまった時にはホームセンターに行けばよい。植木鉢のついでにカップラーメンや週刊誌も買って帰れる。1週間分の生活に必要な物を買う際にも、せいぜい2店舗回ればことが足りる。
コンビニエンスストアは名前の通り、ほとんどの物が手に入る便利な万屋(よろずや)だ。一方、先ほど来述べているように、大型のスーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターも皆万屋化している。違いは小型で品揃えは少ないが24時間いつでもOKがコンビニで、昼間しか開いていないが品揃え豊富な大型店化かだけである。
いずれにせよ、この品はここでしか買えないという、製造直売の老舗店以外の、家族で経営しているような零細小売業は、もはや成り立たなくなってしまった。煙草屋、八百屋、魚屋、荒物屋、・・・・が路地に沿って立ち並ぶ昭和の商店街はもう二度と戻ってこない。

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