投稿日:2009年5月25日|カテゴリ:コラム

お馬鹿な奴らが人の怖がる姿を盗み見して楽しもうと企んだ。ところがその悪企みを見透かしたずる賢い男がいた。何が怖いと聞かれて、本当は大好物であるのにわざと「饅頭が怖い」と答える。
お馬鹿さんたちはしてやったりと小躍りして、饅頭を買い集めて山と積み上げた。それから男をその饅頭の山のある部屋に閉じ込める。男が恐怖にのたうち回る姿を見ようと部屋を覗くと、男は「怖い」、「おお怖い」、「こんな怖いものは食べてしまえ」、「旨すぎて怖い」などと言いながら饅頭を片っ端から食べてしまう。
一杯喰わされたことに気付いた連中が怒って男に「本当にお前の怖いものは何だ」と尋ねると、返ってきた答えは「このへんで濃いお茶が一杯怖い」。
落語、「饅頭怖い」の一席です。

先日、民主党の新代表に鳩山由紀夫氏が就任しました。党首の椅子を争った岡田氏は幹事長に、政治資金問題で味噌をつけた小沢一郎前代表は選挙担当の代表代行に残留して、なんとか挙党一致体制をつくりあげました。
代表選前、自民党や公明党の関係者は口を揃えて「岡田が党首になったら脅威だ」とあざとく怯えて見せました。一方ではマスコミを通じて鳩山は小沢の傀儡だというネガティブキャンペーンを展開して、岡田党首が実現するように世論を誘導しました。
国民はいつも通り、まんまとこの戦術に嵌って「岡田」の大合唱。ここで今までの民主党であれば、浮足立って岡田饅頭を買い込んだところですが、今回はお馬鹿で無責任な世論とやらに右顧左眄しないで慎重に実を取ったように思います。
さらに「盗人の番には盗人を使え」とばかりに小沢を執行部に、しかも自民党が最も恐れる選挙の総責任者に留めました。今回の行動は民主党がかなり成熟してきたことの現れではないでしょうか。
政治の世界は嘘吐き村。本当に怖いものを怖いなんて言うわけがありません。私はこの次、自民党がいったい何を怖がるのか楽しみでしょうがありません。

【当クリニック運営サイト内の掲載記事に関する著作権等、あらゆる法的権利を有効に保有しております。】