投稿日:2007年3月1日|カテゴリ:コラム

パニック障害の主な症状は、不安、動悸、息苦しさです。
きちんと呼吸できているにもかかわらず、息苦しく感じるために、必要以上に呼吸をしてしまい、過呼吸発作を起こすことが少なくありません。
パニック障害という病名が広く認知されたのは最近のことです。それまでは不安神経症の中に組み込まれていました。したがって、患者さんに対する対応も今とはかなり違っていました。「襲ってくる不安を自分の力で克服しなければいけない。」という考えが根底にありました。しかし、パニック障害に対する研究が進んで襲ってくる不安が、本人の不心得からくるものでないことが分かってきました。自分の力ではどうにもならない不安なのです。
実はパニック障害は脳という臓器の代謝障害なのです。
糖尿病などと同じ病気なのです。
不安に関係のあるノルアドレナリンやセロトニンといった脳内の神経伝達物質(ニューロトランスミッター)の分泌機能が正常に働かなくなっているのです。こういった脳内伝達物質は気分、意欲という精神機能にも深く関与しています。ですから、気分や意欲の病気である、うつ病と深く関連していることも分かってきました。
治療は脳の神経伝達物質の分泌を調整するお薬を呑むことです。
SSRIというグループの抗うつ薬がパニック障害にも効果があります。その理由は先程述べた病気のメカニズムを考えれば不思議ではありません。ただ、このグループの薬の効果は飲んですぐに現れませんので、対症療法薬として不安を即効的に弱める抗不安薬(マイナートランキライザー)も併用するほうがよいようです。
薬物療法とあわせて精神療法も重要です。
パニックを起こしやすいライフスタイルを変えたり、不安との付き合い方を学ぶことでその後の再発を予防できるからです。

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