投稿日:2016年10月8日|カテゴリ:コラム

先日、EUが批准してパリ協定が11月4日に発行する見通しとなった。
パリ協定とは世界規模の地球温暖化対策の新たな枠組みで、昨年12月パリで開催されたCOP21において採択されたCO2削減案だ。世界共通の長期目標として産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えるというものだ。かなり高い目標値と言える。
このパリ協定の発効には55ヵ国以上の批准と、排出量が全体の55%以上になることとされていた。これもかなり高いハードルであったが、2大排出国の中国とアメリカが9月に批准。さらに第4の排出国であるインドも10月2日に批准手続きを完了。そして、EUの批准によって11月4日の発行が実現することとなった。
さて、エコ先進国を自負してきた我が国はとみると、経済最優先と言って憚らず、目先の利益確保に汲々とする安倍政権も財界もこの重要課題には及び腰で、今国会での批准も危うい。11月にモロッコで開かれる第1回の締約国会議の正式メンバー入りには間に合いそうにない。
そもそも世界的な地球温暖化対策は1997年に我が国で開催された会議における京都議定書によって先鞭を付けられた。
2007年当時、第1次安倍内閣の首相であった安倍は主要国首脳会議で2050年までに温室効果ガスの排出量の半減を提案。さらに鳩山首相は2009年に2020年までに排出量を25%削減すると国連で演説した。結局は大法螺に終わったが、それでも地球温暖化に対する旗振り役の気概を示した。
日本が議長国であった京都議定書は中国が無視であったし、アメリカが離脱して頓挫してしまった。それでも、毎年増加し続ける異常気象の現実に、あの中国でさえ危機感を抱き温室効果ガスの削減に向き合うようになった。
一方、あれだけの大法螺を吹いた我が国は、東日本大震災によって引き起こされた福島第1原発事故で、それまでCO2削減のよりどころとしてきた原子力発電のリスクが露わになり、急ブレーキがかかった。しかも、財界からの強い抵抗によって自然エネルギーへの転換も進んでいない。経済最優先の政財界は石炭火力発電に固執して国際世論の反感をかっている始末である。
一時、「環境大国」と言われていた日本だが、あるシンクタンクによる温暖化対策ランキングでは、今や再開から4番目の58位にまで凋落してしまっている。

私自身、つい最近まではCO2濃度上昇による地球温暖化説には多少とも眉に唾していた。なぜならば、より長い時間軸で見ると、今間氷期にある地球はこれから再び氷河期に向かうはずだからだ。
人間の営みなど地球規模の環境変動に比べれば蜂の一刺しにもならないのではなかろうかと思っていたからだ。
だが、最近の観測によると、地球の平均気温は産業革命以前から昨年末までに1℃上昇した。だが、今年に入ってからわずか半年で0.2~0.3℃も急激に上昇したという。個人的にも、今年の異常な台風の発達の仕方や移動状態からも何やらただならない環境変化を実感するようになった。
ものすごく長いスパンで見れば、やはり地球はこれから氷河期に向かうとしても、近い将来、壊滅的な温暖化が到来する可能性は否定できないと考えるようになった。つまり、氷河期を迎える前に人類の繁栄は終焉するかもしれない。

世界中が真剣に温暖化対策に向き合いだしたというのに、「アベノミクス」などと自画自賛を繰り返す現政府は100年先、200年先の国民の将来を見ることができず、為替相場が1円上がった、下がったに一喜一憂して、政治家ではなくトレーダーに成り下がっている。そして、そんなことをしているうちに、エコ後進国に成り下がってしまった。
では、目先の景気がアベノミクスで本当によくなったのかといえば、私のクリニックを訪れる方で「景気が良くなった」とおっしゃる方は誰一人いない。むしろ困窮度が増しているように感じる。
国民は中産階級の多くが低所得者に没落し、国は借金まみれなのに、我が宰相は見栄ばかり張って、外国に金をばらまき、オリンピックにかこつけてバブリーな箱モノを建てまくろうとしている。
このままでは、「強くて美しい国日本」など夢のまた夢。国民不在の「歪で醜い国日本」になってしまいますよ。

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