投稿日:2016年9月12日|カテゴリ:コラム

30年近く前、日本経済がバブル景気を謳歌していたころ、在日中国人の友人がこう言った。
「日本を始め、先進国が豊かな暮らしをしていられるのももうあと少しだよ。今は中国人の大半が文明の味を知らない。だけど彼らが車の便利さ、テレビの楽しさ、美味しい食べ物を知って、自分たちも欲しいと思ったらどうなると思う。原油を始め多くの資源の奪い合いが始まって、価格が高騰し、やがては資源の枯渇が起きてしまう。日本でもみんながこんな豊かな暮らしをすることはできなくなるよ。」
その時、これは大変だとは理解しつつもそう深刻には捉えていなかった。

先日、昼のワイドショーで「サバ戦争」という言葉を知った。それまで、内陸部に棲む膨大な数の中国人は主として長江などで採られる淡水魚を食していた。だが、物流の進歩によって新鮮な海水魚を食べられるようになり、その美味しい味を知った、そして一気に海水魚ブームとなったそうだ。
中でも、鯖の人気が急上昇して、中央政府の海洋進出政策とも相まって東シナ海に大量の鯖採り漁船が繰り出した。
日中漁業協定で策定されたラインを挟んで日本の漁船と鯖をめぐって対峙した中国漁船は、掟破りの強力な集魚灯と、稚魚も逃さない目の細かい網を使って、根こそぎ漁獲してしまう。この東シナ海の日中の鯖の取り合いを第一次サバ戦争と言う。
東シナ海の鯖を大方採りつくしてしまった中国は、今度は北太平洋に漁場を移して、ここで再び日本漁船との間で鯖の取り合いを始めた。これを第2次サバ戦争と言う。
鯖だけではない。我が国の秋の食卓を飾る秋刀魚の味も知ってしまい、すでに乱獲を始めている。日本近海の海水温上昇の影響もあるだろうが、例年に比べてこの時期の秋刀魚の水揚げ量が激減している。庶民の魚、秋刀魚と言うのはもう過去のイメージ。高級魚となりつつある。
さらにさらに、中国人は日本人が大好きな鮪の美味しさも知ってしまった。中国で鮪ブームが起こりつつあるという。一昨年サンゴの大量乱獲で名を馳せた中国の密漁漁船団が日本近海の鮪収奪に動いている。
今や中国の食用魚介類消費量は世界全体の消費量の1/3以上を占めるようになった。中国は世界最大の魚介類消費国であり輸出国となったのだ。
頑張って働くことは結構なことだし、秋刀魚も鮪もこれまでは我が国が最大の捕獲国であり消費国であったのだからそう大きな声で非難することはできない。がしかし、問題なのはその採り方だ。
魚を限りある資源として考えて稚魚の捕獲を禁じている先進諸国の漁法ではなく、生態系や環境を一切考慮せず、採れる物は全て採りきるという乱暴な漁法で海を荒らしていくのだ。
これまで中国の魚介類補給を担ってきた長江では、それまで生息していた370種類の魚のうち約170種類が絶滅に瀕しているという。
こういった無知、強欲の集団によって東シナ海もすでに死の海と化している。中国政府自身が「東海(東シナ海)には捕獲できる魚は、もういないというのは事実だ。他の領海も同じような状況が見られる」との見解を示している。
中国による資源の乱獲は食用資源に止まらない。中国は原油や鉱物資源を確保する目的で急速にアフリカに進出している。

中国では古くから蝗(こう)が大群をなして集団移動して、その際に通過する地域の農作物を食べつくしてしまう災害が記録されている。その被害たるや地震や洪水に匹敵するもので、多くの人民を飢餓に追い込み、時の王朝の終焉にまで繋がるほどのすさまじさであった。
この虫の集団移動する現象を「飛蝗(ひこう)」、これによる害を「蝗害(こうがい)」とか「蝗禍(こうか)」と呼んで怖れてきた。
因みにここでいう「蝗(こう)」とは訓読みの「イナゴ」をさすものではない。ワタリバッタが相変異を起こして群生相となったものを指す。
中国四千年の歴史の中で彼らが恐れてきたワタリバッタだが、今や彼ら自身がバッタではなかろうか。このままではこの巨大なバッタの集団によって地球規模で資源は食いつぶされてしまう。
中国人による現代の蝗禍を何としても食い止めなければならない。そのためには、中国人の教育レベルを引き上げて、中国に真の文明国になってもらわなければならない。

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