投稿日:2016年2月15日|カテゴリ:コラム

伴食宰相とは実力や才能が伴わない無能な大臣あるいは職務を果たさない者をたとえて言う。
丸川珠代環境大臣兼原子力防災担当大臣が講演会で福島第一原発事故に関する追加被爆線量の長期目標、年間1ミリシーベルトの基準値について「なんの科学的根拠もない」と発言した。
だが、この目標値は国際放射線防護委員会が示した参考値を基にしているものだ。
国民の放射能被害を防止すること、中でも避難地域の復興のための放射能汚染除去を推進してかなければならない原子力防災のトップが、そんなことも知らないとは開いた口が塞がらない。
私は口をあんぐり開けていれば済むことだが、なんの瑕疵もないのに住む土地を追い出されて早5年近く、いつになるとも知れぬ帰還に一縷の望みを抱いている避難者たちは、この痩せぎす女の発言をどんな思いで聞いただろう。
また、同じく島尻安伊子沖縄・北方担当大臣が国会の答弁の場において官僚から渡された原稿に書いてあった「歯舞(はぼまい)群島」の表記を読めず「千島、はぼ、えええっと、なんだっけ」と立ち竦んだ。
歯舞、色丹(しこたん)、国後(くなしり)、択捉(えとろふ)、の4島は長年ロシアとの間で返還問題が議論されている島の名前で、中学校の社会の授業をちゃんと聴いた者ならば誰でも知っている。
中学校を遊びほうけて大人になったとしても新聞を読んでいるならば頭にこびりついているはずだ。
しかも島尻は単なるおばさんではない。
国を代表してこの北方領土の返還問題を担当する主務大臣なのだ。
今、日本中が注視している辺野古も読めないのではないだろうか。
北方領土地権者や沖縄の人々の心中はいかばかりであろう。

 

私は麻生が総理大臣だった当時、彼の読字力のなさを揶揄したコラムを書いた。
一国の総理大臣が中学生でも読める漢字を読めないなんて同じ国民として恥ずかしいと言った。
だが、今から考えると麻生の読み違いは単に教養がないだけで罪は軽い。

 

先の二人の大臣の失態は単なる無教養では済まされない。
なぜならば、無知の内容が己の主管する政務活動に関する基礎の基礎だからだ。
われわれ医療の世界に喩えるならば、縫合糸の結び方を知らない人間が外科医を標榜しているようなものだ。
そんな輩が手術を担当していたことが発覚したらどうなるだろう。
馘首になるだけでは済まない。刑事告発されても不思議ではない。
また、そんな人間に外科手術を任せていた安倍晋三院長も引責辞任しなければならないだろう。
だが、政治の世界では「ごめんなさい」で済むようだ。
そしてお二人とも、これからも職責を果たしていくと明言している。
縫合できないのにこれからも手術を続けると公言しているのだ。厚顔無恥極まれり。

昔は「嘘つきは泥棒の始まり」と言ったが、今は「嘘つきは政治家の始まり」と言うそうだ。
確 かに泥棒もプロになればそれなりに技術と経験を要求される。また捕まれば厳しい罰を受けなければならない。一方、最近の政治家は教養や見識がなくても、長 舌三寸、へらへらと威勢のいい嘘をついてさえいればそれで済む。失敗したら、深刻ぶった顔をして謝罪して、「職務を全うすることがお詫びだ」などと言って おけばそれまで。嘘を吐く以外能がない者にとってこれほどぴったりの職業はないのかもしれない。今世間では、イクメンで名を売ろうとしたゲス不倫チャラ 男、元議員のほうに関心が向かってしまっているが、あんな3流ホストは放っておいて、丸川珠代と島尻安伊子、二人の伴食宰相こそもっと厳しくその罪を問わ れなければならない。それにしても安倍の周囲にはどうしてこうも無知で卑しい連中ばかりが集まっているのだろう。それは安倍自身が伴食宰相だからに違いな い。

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