投稿日:2014年1月20日|カテゴリ:コラム

力士(相撲取り)の一日はすべて番付の順で行われる。取的(幕下以下の力士)は5時から5時半に、関取(十両、幕内の力士)は7時から10時半の間に起 床。起きるとすぐに稽古に入る。取的は6時から9時30分、関取は8時から11時30分頃まで。稽古が終わると11時半頃から1時半頃にかけて風呂に入っ てブランチ。起床や稽古は番付の低い順だが入浴や食事は番付の高い順だ。
番付下位の者は入浴時に関取の体を流したり、食事の支度をしたりして、関取が入り終ってから風呂に入り、関取が食べ終わってから食事をする。
食事が終わると3時半ころまで昼寝をする。昼寝の後は自由時間だが、取的は部屋の掃除や関取の用事をいいつけられたり、夕食の支度などをしなければいけない。
夕食は5時半頃から始まる。ここでまた、たっぷりと食事をした後自由時間となる。高番付の関取は谷町(後援者)たちと銀座や南や中洲などへ繰り出して痛飲することも多い。就寝時刻は、朝早い番付の低い者たちは早寝をし、高番付の関取は比較的遅くまで起きているようだ。
力士は職業柄、太ることが至上命令だ。だから、長年の経験からもっとも太りやすい生活習慣が伝統となっている。彼らの生活から分かる「太る秘訣」とは。
まず一回の食事量を多くとって、食事回数を減らすこと。力士の平均摂取カロリーは2食合わせて約8000kcalくらいになるらしい。
次に、飢餓状態の後にドカ食いすること。取的に至っては早朝5時半に起床するにもかかわらず朝飯にありつくのはお昼近くだ。その間ただごろごろしているのではない。空腹を抱えて激しい稽古でエネルギーを使い尽くす。
3 つ目に、食べたらすぐ寝ること。ブランチをとったらすぐに1~2時間たっぷりと昼寝をする。お昼寝の後はまた高カロリーの夕食をとり、夕食後はさっさと眠 りに就く。番付の低い若い者ほど早く寝て、関取は遅くまで起きている日も多いが、その際はほとんど高カロリーのアルコールを大量に摂取する。
この ような力士の生活をまねれば太ること間違いなし。何せ力士は太る名人だからだ。とはいっても、朝稽古の激しさは半端ではない。だから力士は太っていても、 その多くは皮下脂肪で、生活習慣病を引き起こすとされている内臓脂肪は意外と少ない。かっての大関、小錦は身長183cmで体重274kgという超肥満だ が、その小錦でさえ内臓脂肪は20%台であったと聞く。また体脂肪も見かけほどではない。幕内力士の体脂肪率は平均で23.5%というから、現代の若者の 値と比べると驚くほど低い。つまり、力士は脂肪デブではなく厚い筋肉の塊の上を脂肪が覆っている重戦車なのだ。
力士の食生活をまねて、運動をしな ければ本当の内臓脂肪太りになり、あっという間にあの世へ行くこと間違いなしである。逆に、痩せたい方は力士とは真逆の食生活をすればよいことになる。つ まり、飢餓状態にならないよう、少量の食事を頻回とるとよい。特に朝食は欠かしてはいけない。

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