投稿日:2014年1月6日|カテゴリ:コラム
12月を師走と言う。この由来は「普段はおっとり生活している師と呼ばれる人まで走り回るほど忙しい月」とされている。確かに年末はお歳暮、年賀はがき書 き、大掃除と言った普段やらない仕事が増える。特に主婦はおせち料理をはじめ正月三が日に向けての準備でてんてこ舞いになった。
なぜならば、昔正 月三が日と言えばすべての商店が休業だったために、その間の生活を支える準備をしておかなければならなかったからだ。だが今はそんな必要はない。コンビニ をはじめ年中無休でやっている店が増えたために、生活必需品に困ることがないからだ。デパートも以前は4日に初売りと決まっていたが、近年は2日から福袋 の大売出しが始まる。西武デパートに至っては元旦から店を開けるらしい。
三が日は日頃の仕事から逃れて、家族とのんびりした家庭での時を過ごすと いう昔からの習慣も失われてきた。家族そろってファミレスで外食を楽しむ家庭も増えてきた。このために正月が忙しくなった人々がいる。ファミレス、コンビ ニやスーパー、デパートの店員はもとより元旦から働く職種も少なくない。山手線は大晦日から元旦にかけては終日運転するので、JR職員は普段よりも忙しい くらいだ。
一方、その分だけ歳末は穏やかになった。一昔前は徹夜続きが当たり前とされた床屋さんも今はがらんとして、大晦日は休業するところがほとんどだ。
正 月をはじめ祝日だからと言って日の丸を飾る家はほとんど見なくなった。今の若い者は「旗日」と言う言葉を知らない。正月の松飾も飾らない家が増えてきた。 安心して遊べる空地のない都会では、凧揚げ、羽根突きや独楽回しなどをする子供の姿を見かけなくなった。こんな正月遊びはもう歴史的習慣の項に収められる ことになるだろう。正月が特別な日ではなくなったということだ。
正月だけではない。一年の節目がだんだん失われて、なんとなく365日が過ぎていくようで寂しい。こんな風に感じるのはいまでも歳末になると色々な物を買い溜めして、お店の人に笑われる私が歳をとった証拠だろう。

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