投稿日:2014年3月31日|カテゴリ:コラム

地球は24時間で1回転の自転をしているために極方向に比べて赤道面の方が膨らんでいる。だから厳密にいうと楕円球体なのだが、おおざっぱにいうと半径はおよそ6400kmの球とみなすことができる。
中心から1300kmほどは内核と呼ばれる灼熱の固体の鉄とニッケルの塊だ。温度は8000℃に達し、太陽の表面温度に匹敵する。この内核の外側2200kmの間は高温液状化した鉄とニッケルでできている外核。つまり中心から3500kmの厚さは金属でできた核なのだ。核の周囲は厚さ2800kmほどのマントルが対流している。体積で言うと地球の83%はこのマントルである。マントルは高熱でドロドロと溶けた珪酸塩を主成分とする鉱物でできている。このマントルとモホロビッチ不連続面を境に6~60kmの厚さの地殻が浮かんでいる。つまり、私たちが大地と呼びその上にスカイツリーのような建造物の基盤としている地殻は地球の半径の0.1~1%の厚さしかない。
地球をリンゴに置き換えてみると、地殻は皮程度の厚さしかないのだ。しかもリンゴの皮は充実した身の上に緊密に張られているが、地殻はそんな堅固な物質に支えられてはいない。ドロドロに溶けて液状となっている灼熱のマントルの上に浮かんでいるに過ぎない。マントルは核からの8000度近い熱によって熱せられて下から上に吹き上げられ、地殻近くで冷えたマントルが下に沈み込む、絶え間ない対流をしている。リンゴの皮というよりも、ホットミルクが冷めた時にできる薄皮や豆乳の上に浮かぶ湯葉に喩えた方がよいかもしれない。
しかも地殻自体が一枚岩ではなく、十数個のプレートと呼ばれる岩盤に分かれて、それらは常に衝突を繰り返している。極めて不安定で危うい構造なのだ。

現在最善の放射性廃棄物質の最終処分法と考えられている方法は地層処理と言われている。この方法は地下を数百メートルから千メートル掘り下げて、地殻の深い部に埋めて何十万年も管理し、放射能の自然減衰を待とうというものである。
本当に地層処分は安全な処分法なのだろうか。騙されてはいけない、こんな方法で地球全体を放射能か汚染から守れるわけがない。原発推進派は「地殻の奥深く・・・・・・」といかにも安全そうな言葉を使うが、地殻そのものが先ほどの述べたように極めて不安定なちぎれちぎれの薄皮なのだ。そんな頼りないものの中に隠したって何十万年単位の安全を保証できるわけがない。
しかもたかだか数十年の寿命しかない人間が数十万年の安全管理をどうやって保証するというのだ。推進派の主張は「そんな先のこと知ったことか」という極めて無責任な考え方の上に立っている。己の寿命の範囲の利益しか見えない愚か者の猿知恵だ。
しかも近視眼的な彼らの時間単位で見ても安全などという言葉は使えないはずだ。なぜならば、現に汚染水対策の切り札としていた多核種除去設備(ALPS)の不具合で汚染水は予想よりも数倍の速度で増加しているという。高レベル放射能を発する使用済み核燃料どころか、今後も増え続ける汚染水ひとつ処理のめどが立っていない。3年前に起きたたった1か所の原発事故さえ未だに収束させる技術を持たない人間が、数十万年にわたって高レベル放射性物質を管理できるはずがない。地球規模でものを考えれば自明の理である。
それでも彼らはリンゴの皮を堅牢な金庫だと偽って、今後も原子力発電を続けようと目論んでいる。全地球生命体に対する確信的殺戮犯として糾弾されるべきではないだろうか。

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